麻雀打ちの頁/雀のお宿

あるノーレート雀荘で管理人が出会った恐い打ち手達について。なぜ、こんなことになってしまったんだろう。彼らを恐いと感じたのはなぜだろう。本当の恐さとは何だろう。

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恐い打ち手達

恐い打ち手達

そっちの意味の恐い、というのではなく…

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 先日、とても恐いフリー雀荘に入った。
 もしかすると[街荘]ネタかなと思いつつも、その雀荘のオーナーがこれを読んでショックを受けるとイカンので、フィクション混じりの、この[放言]にアップだ。

 先日、とても恐いフリー雀荘に入った。
 ちゃんと店の看板を掲げて営業してある雀荘に入って、アタキが恐いなんて思うなんてことはまず無いのだけれど、そこは恐かった。
 正確に言うと、雀荘、つまり店が恐かったわけじゃなくて、一緒に囲んだ三人の面子が恐かったのだ。
 その店はまだできたばかりで、卓は新品で、例のアニメでナビゲーションしてくれるもので、空調も快適で、場代もこんなに低料金でイイのかと思うほど良心的なシステムで、サービスもそれなりに充分で、客層は若いサラリーマンと学生がほとんどで、アタキなんかは少し浮いたような存在かもしれず、まぁ、とにかく健全を絵に描いたようなフリー雀荘だ。
 おっと大事なことを忘れていた。 この店では客同士が金銭のやり取りをしないのだ。 いわゆるノーレートのフリー雀荘ってやつだ。

 ウイークデイの夕方、少し待たされて卓に付いた途端に驚いた。
「ポン」の発声をせずにポンする下家だった。 こいつは「チイ」も言わない。
 この下家と対面は、平気で先ヅモしてやがる。卓の淵に「先ヅモ厳禁」ってシールが貼ってあるのに、だ。
 上家はずっと足を組みっぱなしで、そのこと自体は別に恐くないのだけれど対面の山からツモるたびに、台全体が揺れるのだ。
 こ、こ、こ、恐い!
 こんな恐ろしい面子に、こんな健全そうなクラブで遭遇するとは思いもしなかった。
「リーチ」とも言わずに、黙って牌を横向けるなんて、アタキが普段通っている多くのバクチレートのクラブでは考えられない話で、これはトラブルの元凶になるのに、一体なんなんだ、この人達は。
 先ヅモなんて、マナーどうこう以前に、これはイカサマの一種であろうに、こんなアリアリのルールで平気で先ヅモするってーのは、相手の牌を覗いているのに等しい行為で、これは麻雀とは別の種類のゲームだ。

 何かが基本的に間違っている。
 こんな恐い人達と囲み続けるのは、体力的にも精神的にも疲れるので、たったの半荘二回でアタキは店を出て、その足でサンマ雀荘に行ったが、このサンマ雀荘のレートというのはどう言い訳しても法律違反なわけだけど、アタキがほっとした気分になったのは事実だ。
 先ヅモする奴だっているんだけど場面が限られている分だけ、いくらかマシで、発声せずに副露なんて認められてないし、何よりも卓に付いた全員が、誰からも文句を言われないように謙虚な姿勢で麻雀に向き合っているので、とても心地良いのだ。
 怪し気な所から命からがら逃げて来て、やっと麻雀を楽しめた、そんな風にほっとした。

 あのノーレート雀荘で、アタキが囲んだ三人は、何故、あんなに恐かったんだろう。
 あのノーレート雀荘のお客さん全員があんなに恐い人達ばかりではないだろうとは思う。 オーナーだって店長だってとても素晴らしい人達で、店のシステムだけでなく、彼らの人柄が多くのお客さんを惹き付けている事実だってあるのかもしれない。
 たぶん、あの店に集まって麻雀を楽しんでいるお客さんの多くは、アタキなんかとは比べ物にならないくらい麻雀というゲームそのものを楽しみたいという欲求にかられているのかもしれない。
 アタキの場合には(決してそれが目的ではないとは言え)金銭を賭けての麻雀をやる回数が多いのでどう言い訳しても純粋に麻雀そのものを楽しんでいるとは言えないだろう。 もちろん、たまーにだけど、ノーレートでだって囲んでる。

 あのノーレート雀荘で、アタキが囲んだ三人は、何故、あんなに恐かったんだろう。
 恐い、と思ったのは、アタキの勝手だ。
 あの三人は、アタキのことを恐いと思ったかもしれず(笑)、うん、それは大いに考えられる。
 下家の学生風にアタキは「まだ、私は牌を捨ててないんですが」って(かなり優しく)言った時に対面のフリーターっぽい奴はビクッとしてたし。 だけど、当の下家は何も言わずに、聞こえるか聞こえないかの舌打ちまでしやがった。
 アタキは紳士なので何ともない素振りをしたけど、この下家の反応で血の雨が振っても不思議じゃない環境をいくつか知っている。
 うん、恐いと思ったのはアタキの勝手だ。
 アタキ自身の感覚として、せっかくノーレートなんだから、もっとちゃんと麻雀を楽しもうよ、な~んて自分勝手な思いがあるのは間違いなさそうだ。
 金銭を賭けての麻雀こそが普通の麻雀なんだと思ってた長い時間の反動として、必要以上にノーレート麻雀に対する期待というか憧れというか夢というか究極のパラダイスみたいなものを思い描いていて、そんな事、普通にノーレートで麻雀を楽しんでいる人々にしたら、そんなの勝手に夢見てて、こっちに押し付けるんじゃねえ!なんて思われても仕方ないのかも。

 あのノーレート雀荘で、アタキが囲んだ三人は、何故、あんなに恐かったんだろう。
 アタキの感じた恐怖が、一般的に言われるマナーの問題に拠っているのは明白だ。
 彼ら三人は、明らかにアタキよりも雀歴は短いだろうと思われる。 そうでなくとも、アタキの方が色んな場所で数多くの人達と麻雀をやってきた経験があるのは間違い無いだろう。
 そして彼らがたんに知識の無さから、極悪非道のマナー違反を犯し続けていた可能性もないわけじゃない。
 本当にそうであれば、彼らだけの問題ではない。 知らないことがあるのは彼らの問題ではなく、環境の問題だ。 この場合の環境とは、クラブ、このフリー雀荘のことだ。
 店のシステムとして、彼らのマナー違反をマナー違反として見ていない。 もしくはマナー違反を見逃している、という事実があるのかもしれない。
 つまり「見て見ぬ振り」を決め込んでいるのかも、という意味だ。
 本当にそうならかなりやっかいな話で、これは店のシステムというか、メンバーの教育というか経営方針というかそんなものとも絡んできそうで、アタキが個人的にどうこう言えるものでもないかもしれん。
 ただアタキには知っていることがある。
 九州で最大の売り上げを誇っているフリー雀荘の店長は、昔からの仲間なのだが、この店はどこの雀荘よりも客のマナーにウルサイという事実があるのだ。 売り上げなんてドーデモイイのだけど、彼の店が(少なくとも)九州で一番多くの客を抱えているという現実、つまり他店よりも多数の麻雀愛好者にフリー卓というコミュニティを与え続けているという真実は、決して無視すべき類いのものじゃないだろうと思われる。
 どこよりもマナーにウルサイ雀荘が、どこよりも多くの客に支えられ支持されているわけだ。

 アットホームな暖かい雰囲気を大事にしたいために、少々のマナーの悪さに目をつぶっているとしたらこれは明らかにおかしい。
 固定した数人の客が相手ならわからない話でもないが、広告や看板で不特定多数の客を集めようという目的からはズレている。 マナーなんてーのは、基本的には知らない人との接点があるからこそ取り沙汰されるもので、身内だけで囲む時にはこんなの不要の筈だ。
 逆に、多数の客を相手にする以上、マナーは欠かしちゃいけないもんだ。

「百貫さんはマナーのことだってよくわかっているし、ノーレートだからこそって気持ちもわかりますけど、こんな風に初心者が多い雀荘ではなかなかそこまで厳しく言うのもですねぇ…」
 おいおい、アタキは、オーラスで着順の変わらない和了りをするなって言ってるんじゃない。
 メンチンででも三秒で打牌しろ、だなんて言ってるんじゃない。
 リーチの時にはまず発声してから牌を捨てろって言ってるだけだし、ポンやチーの時に黙って他人の牌に手を伸ばすなって言ってるだけだ。
 点数がわからない時なんかには横から助けてやってるし、多牌少牌になりそうな前に指摘してやってるつもりだぞ、アタキは。
 初心者だからこそって気持ちだってアタキにはあるさ。 初心者なら初心者らしく、もっと、他の面子に気を使え、と言いたい。 オシボリを頭の上にのせるんじゃねえ、と言いたい。 足を組んで麻雀するんじゃねえ、と言いたい。 煙草なんてもってのほか、ウーロン茶やコーヒーを飲むのも、初心者にはやめて頂きたいものだ。
 初心者なんだからアタキの肩をもめ、なんてことは絶対に言ってないのだ。 もっと真摯に麻雀やってよってことだけだ。

「たかが麻雀にそこまでアツくならんでも…」
 う、それを言われるとアタキの人生が全否定されてるようで(笑)、それにこの『雀のお宿』の存在理由がなくなりそうで(笑)、チト困った。
 アタキにはアタキと同じように麻雀を好きな友人が何人かいるけど、彼らがアタキの地元に遊びに来た時に、間違っても恐い打ち手が何人もいるようなフリー雀荘に彼らを紹介することはないだろう。
 たとえバクチレートであっても、恐い打ち手がいない雀荘で至福の時間を過ごしたいものだ。

「もっちゃん(アタキのこと)の言うことはわからんでもないけど、その雀荘のオーナーにしたらドーデモイイことなんじゃない」

 アタキみたいな人間は世の中にそう多くない、って言いたいらしい。
 アタキが感じた恐い打ち手達のことを、本当に恐い、って思う奴は少ないだろうって話だ。
 …かも知れん。
 かも知れんばってん、アタキの言うごと、思う人はこれからもっともっと増えてくるげな気もするとたい。
 麻雀ば、麻雀そのものば、もっともっと楽しむためには、やっぱ大事にせないかんことのごと思うったい、本当に。

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