麻雀打ちの頁/雀のお宿

40万人を超える麻雀打ちが集まった祭典、伝説の麻雀ライブ、ウッドストックの全記録。関係者へのインタビューと来場者の声、代表的なナンバー等。

公開

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ウッドストック

愛と平和と麻雀の祭典

'XX年XX月XX日、N市郊外林守の丘は、世界中から押し寄せた40万人を超える麻雀打ちにより、文字通りの「解放区」となった。
「愛と平和と麻雀の祭典」ウッドストック。

伝説の麻雀コンサートにおけるエピソードの内、当時の劇場公開版オリジナルバージョンでは語られる事の無かったいくつかのパフォーマンスは今の時代だからこそ価値のあるものとなった感がある。
偉大な麻雀打ち達の魂の叫び...。これは世紀を超えてなお多くの麻雀打ちの心を揺さぶる熱きメッセージだ。

あぁ、俺っちは田中一郎。 この田舎の中の一杯呑み屋をやってる。
すごい人だったね。
一日4万人くらいだろうと思ったらその10倍くらいいた。 おかげで買い物にもどこにも行けなくて、店で出す肴がなくなっちまった(笑)。
みんな、いい麻雀打ちばかりだったさ、あぁ。 言葉使いもていねいだったし、礼儀も心得ていたよ。
こんなデカいイベントはもう、世界のどこにもないだろう。
これをニュースで見れば、映画だっけ、あぁウェブページか、それで見たらぶったまげるだろうね。

「マイク、準備は大変かい?」
「...」
「一番、大変な事は?」
「さぁ、やっぱり役所かな」
「お役所相手の折衝が一番大変ってわけだ。準備の期間は?2、3か月?」
「9か月」
「9か月も。たった一人で?」
「いや、助けてくれる仲間がいる」
「次のことは考えてる?」
「いや、何も。それにこのイベントが成功してから後の話さ」
「そう、成功するといいね。僕も祈ってる、成功することを。ありがとう」

一体全体どこから来るのか、次から次に麻雀打ちがやって来るんだ。見ての通りさ。
こうなっちまったからには、仕方ないね。無事に全部の半荘が終わるのを待ってるだけさ。

昨日もずっと見てたの。いろんな麻雀打ちが来るのをね。
(こちらへは何しに?)休暇をとって家族旅行。でも休息できるのも昨日までね。

君らはジャンキー?何故、自分のことをそんな風に言うんだ?
別に悪い意味で使ってる言葉じゃない。
でも、ジャンキーって、良いことじゃないだろ?
そう思えばそうだけど、自分達では何とも思ってない。皆んながそう呼ぶからそれに答えているだけさ。
まぁ、かまわない。何も問題が起きなきゃね。

うちの商売は見ての通り、どんなものでも飛ぶように売れてるよ。
麻雀打ちだって、普通の人達と同じように、飯も食えば酒も飲む。ありがたいことだわ。
彼らが何を残していくのかは誰にもわからないけど、みんなイイ奴だってことだけは理解できる。 本当に素晴らしい奴らだ。

おいらが生まれたのは、小さな河のほとり。
名もない河にはヤオチュウ牌だけが並んでいた。
赤もドラも見たことはなかったけど、
それがどこかにあることは、何となくだが、知っていたさ。
誰から教えられたワケじゃないけど、
何となくだが、知ってはいたさ。

こんなにたくさんの卓をどこから持ってくるんだろ、あんた、知ってんのかい。
へぇ~、八万卓。そりゃ、たまげた。
だけど、本当に、全部の卓が埋まるのかい。大丈夫かなぁ。

おーい、サンマ専用の卓は、もっとイーストサイドだってよぉ。
あぁ、もう一時間も探して歩き回っているんだけど、辿り着かなくってねぇ、サンマ卓に。
もう、いっかなぁ、ヨンマだって。

「...マイク、チェック、ワンツー」
「チェック、ワンツー、...、皆んな、聞いてくれ」
「これから先は、...、全卓フリーだ...」
「そう、...、もう場代は必要無い、...」
「...、勝手に楽しんでくれて構わない、全部タダなんだ」
歓声が上がった。

「マイク、大丈夫かい」
「ああ、予想していたことの一つなんだ、これも」
「だけど、今までの場代を払った人も大勢いるだろうし」
「このありさまを見れば、誰だって納得してくれるだろう。どうやって徴収すればいいのか、手が無い以上、公平なのが一番さ」

夢を見させてくれた君にグッバイ。
グッバイ、ファニーガール。
初めて逢った時の君は九種だったけど、
そんな君の横顔に僕は感じたんだ、何かを。
スグに君は一向聴になって、もう夢中さ、君に。
ドラの發をポンした下家の後に、出された四枚目が、
僕らの夢の終わり、グッバイ。

え、どうやって、ここまで来たかって
あのヘリさ、ほら。
何、何、聞こえない、えっ、赤ちゃん?

「聞いてくれ、...、皆んな、聞いてほしいんだ」
「皆んなの中に、医者はいないかな、お医者さん」
「赤ん坊が生まれそうなんだ、赤ちゃんが」
「医者とその手助けができる人がいたら、中央ステージの脇まで来て欲しい、スグに」
この時に生まれた子供は、麻美と名付けられた。

雨が降り出した。
真面目に囲んでいる卓よりも、そうでない卓の方が多そうだったが、主催者であるマイクにもその実情は判らなかった。

「その筋からのアナウンスだ。」
「今、出回っているドラッグは粗悪品らしい。知らない奴からのプレゼントには気を付けるように」
「それから、煙草の吸殻はちゃんと各自、自分で責任を持って始末するように。ボヤが色んなところで起きてる」
「...、続いてのステージは、メンバーズだ。自分の手牌だけじゃなく、中央ステージでの闘牌にもちゃんと目を配ってくれよ、皆んなぁ!」

局と局との間に、おまえが見せた悲しみ。
その涙を引きずったまま、その半荘は終わったよ。
その涙の意味を、理解らぬまま、俺は牌を伏せたよ。
誰もが牌を伏せたよ。
役と点数との間の、埋められないすき間。
もどかしさに手を打つことなく、その場は流れたよ。
立直するタイミングを逃したのさ、俺は牌を伏せたよ。
おまえも牌を伏せたね。

「この3時間で、役満が834回、出た!」(喚声、上がる)
「この内、九連宝灯が11回だが、まだ四槓子は出てな~い!」(また、喚声)
「もちろん、ヨンマでの話だぁ!」(笑いと喚声)
「サンマでも四槓子は出てないみたいだけど、出ても報告の必要はない!」(笑い)
「ニマでも必要は、な~い!」(大笑い)

フィールソーグー、配牌、ドラ3、飜牌対子でぃぇ~。
不意に遭遇、何巡経っても、飜牌出て来ないぃぇ~。
フィールソーバア、誰かと持ち持ちなのかなぃぇ~。
振るソバ、奴のリーチはそば聴なのかなぃぇ~。
今日も昨日も卓に座りっぱなしでぃぇ~。
器用な機能の卓に付きっぱなしでぃぇ~。

母さん、僕だよ。
あぁ、元気だ、スージーも一緒さ、勿論、大丈夫さ。
成績はあまり良くはないけど、とっても楽しんでる。
皆んな、素敵な人ばかりなんだ、そう、本当に大丈夫だって。
まだ、後、二日間は卓が続くけど、電話はもう出来そうにないんだ。
だって、卓を離れるのは、あまりマナー的に良くないと思うんだ。
父さんにも心配ないって、伝えて。
うん、僕もスージーも最後まで囲みつづけるつもりだけど、あぁ、それじゃぁ。

ほら、隣りの卓でも、また国士無双が出た、聞こえるかい。
うん、ワイワイと騒がしいけど、ずっとこんなんじゃないんだ。
中央の卓での闘牌が盛り上がった時なんかは、皆んな静かに、観戦してる。
でも、この二日間のほとんどは、こんな風に盛り上がってる状態かな。
いやぁ、レベルはマチマチだけど、誰もがちゃんと打ってくれる。
着順が変わらない和了りなんて、オーラスでは誰もやらないし。
全員が、他の三人の、いや違う、ここに集まっている全員と、そして麻雀の神様みたいなものを意識しながら局を進めている感じかもしれない。
こんな麻雀だよね、ずっと探し続けてきたのは。
一打、一打がとても楽しいんだ。
これが麻雀だよね、ずっと憧れてきた麻雀だよね。
緊張もしてるけど、とてもとても楽しくてしかたがない。

最初に着いた駅で降りよう。
タクシー乗り場で、打てる場所を探そう。
どんなルールでもいいさ、たかが麻雀、麻雀ブルース。
最初に座った席にい続けよう。
東の出親で、連荘を目指そう。
どんな聴牌でもいいさ、この街での麻雀、麻雀ブルース。
旅に疲れたわけじゃないけど、手が進まない時もある。
最終形のリーチが不発に終わることもある。
あの街でも、この土地でも、これが麻雀、麻雀ブルース。
俺の麻雀、麻雀ブルース。

「すごいね、確かに。こんな経験は初めてだよ。ステージで麻雀打ってて、観衆の息遣いが牌に伝わってくるんだ」
「しかも、自分の自摸番でもないのに、その下家が自摸った牌の勢いで、自分の手牌が和了りそうになる」
「幸福にもこのステージに呼ばれた打ち手の誰も、牌の勢いなんてオカルトを信じちゃいないが、麻雀打ちの全体が、そう、集合意識みたいなものは確かにあって、このステージ上では、観衆全員の麻雀意識、数十万人の意識が一つになった、そんな奇跡を感じることができる」
「もう何十年も誰も口にしなくなった言葉だけど、あえて私達はまた、言わなくちゃいけない立場に立たされたようだ」
「麻雀は奥が深いってね」
「奥が深いってね」

誰かが、牌が舞い上がるのを目撃したらしい。
そんなことだってあるだろうよ、これだけの麻雀卓が立っていたら。
とうとう、四槓子が出たらしい。
時間の問題だとは思ってたさ。
国士無双を三局、立て続けに和了った奴がいるらしい。
不思議なことでも何でもないよな。

もう、離さない、(ハナレナイ)離したくない。
ようやく巡り逢えた、愛しいドラ。
もう、離さない、(ハナレナイ)離したくない。
マイスイートハート、オーマイドラゴン。

どれだけ役満が出ようとも、それを奇跡と呼ぶことはない。
これだけの卓が立っているんだから、ちっとも不思議なことじゃない。
だけど、どんな小さなトラブルも起きない、このことは奇跡と言っていいんじゃないか。
いや、そうじゃない。素敵な麻雀打ちがこれだけ集まっているんだから、逆にトラブルなんて発生しないものさ。

西へ征こう、昨日までの悲しみを超えて。
西へ進もう、明日の栄光を求めて。
南場までに決着を見なかったのだから、
西へ征こう、西場こそが、新たな闘いのステージ。

あなたの鳴きの向こうにあるはずの、幸福を
わたしは、見ることができないのは何故。
こんなわたしじゃ、だめですか。
一鳴きバッタは嫌いですか。
出るポン、出るチイ、こんなわたしじゃだめですか。

場末のクラブで、速い摸打の仕草。
前かがみの背中でわかる、いい調子。
煙草の煙が、隠すあなたの横顔を、
知られずにそっと伺うバイトのメンバー。

長い髪の少女、細い右腕、素早い打牌。
僕は気付いた、君の聴牌、君だけの希望。
黙っている少女、薄い紅、微かな香り。
僕は知ってる、君の待ち牌、そして、君の失望。

ヘイ、ジョー、その手は和了れないよ。
ヘイ、ジョー、見え見えの西単騎。
ヘイ、ジョー、その手は自摸れないよ。
君にもわかってるはずなのに。
ヘイ、ジョー、なのに突っ張る君の瞳には、
いつかの悲しみが浮かんでいた。

その日、麻雀が麻雀を超えた。
そこに集まった麻雀打ちの全員が、麻雀打ちである自分とその仲間の存在を確かなものと感じた。
ウッドストック。
伝説は新たな伝説を生むことになった。

別にウッドストックにこだわらんでもよかったのだが、一度、擬似イベント物はアップしたかったのさ。