麻雀打ちの頁/雀のお宿

トップ賞(オカ)と順位点(順位ウマ)についての考察。素点を争うだけの場合にはない面白さ、独自の醍醐味について。主にワンスリーに主眼をおいてMリーグ・RTDリーグにおける考え方を俯瞰してみる。

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勝ち価値ワンスリー

トップ賞と順位点について

ごめんなさい。このコラムの言いたいことはココよりも「Mリーグのトップ価値」の方がずっと判りやすいです。 そっちを読んでこのページは無視してください。(←じゃ、なぜこのページを書き直さない!)

昨年末にいただいたリクエスト「ウマについて語ってほしい」に応じるべく書いてたら、昨年じゅうにはうまくまとまらずに放っておいた。
まとまってないままだけど、Mリーグについてちょっと書き足してアップしようと思う。
一番言いたかった「ワンスリー」については、かなり後ろの方に書いてある。

長過ぎる序文

イチ・ニー・ヨン・トー

昭和40年代後半、多くの人が「30,000 点持ち」で半荘を開始していた。
TV番組11PMでも、いろんな雑誌の誌上対局でも、そして家庭でも、会社の同僚と飲み会の後で囲む時も。もちろん、昔からのルールを踏襲しているグループでは「2,000 点持ち」なんてのも存在はしたが、主流とは言えなかった。
「トップウマ」や「順位ウマ」という考え方はあったけど、そんなに広まってはいなかった。

初めて「27,000 点持ち」というルールに遭遇した時に、同時に「トップ賞」という言葉を知った。開始時に差し引かれた「12,000(=3,000 × 4)点」がトップ者へのオプションで、トップを取るのはとても偉いことが判明した。
そして、「25,000 点持ち」なんて広まってしまってからは、「麻雀はトップを取るゲームだ」なんて言い出す奴まで出てきた。
それ以前にもこんな奴は多くいたけど、一般の愛好家が楽しむ麻雀で、トップの価値を誰もが認めだしたのは「25,000 点持ち」が広まってからだろう。

半荘が始まる時には自分の点箱に、一万点棒を1本、五千点棒を2本、千点棒を4本、百点棒を10本入れて、25,000 点。五百点棒なんて無かった。
「イチ・ニー・ヨン・トー」はこの時に口にする呪文だった。

ブーの遺産

昭和初期の第一次ブームとも、昭和40年代の第二次ブームのどちらにも属さないブームがあった。大阪で発祥し、後に西日本を席巻したブー麻雀(ブーマン)だ。
ブーマンでは最終得点のいかんに関わらず、一人の「勝ち」が決まる。その他は「引き分け」か「負け」のどちらか。「引き分け」者が存在せず、勝者以外の3人全員が「負け」になる場合もある。
ゲーム終了時に最多得点者が「勝ち」、その他は原点より浮いた状態であれば「引き分け」、原点より沈んだ状態は「負け」。
ブーマンは(他の麻雀ルールと同様に)バクチの一種であるので、この「最終得点のいかんに関わらず」というのは、精算が簡単だというメリットがあった。

ブーマンが後に他のルールに遺したモノとして「ドボン」が最も有名だが、「原点からの浮き沈み状態」という価値観を生み出したのもブーマンだ。
その他にも「得点の多寡に関わらない単独の勝者」や「一定点数に達したら半荘終了(天辺)」などがある。

*ブーマンについての詳細は、【雑録】「ブーマンの規則」でどうぞ。

トップこそ唯一の勝者

古川凱章が提唱したのは「トップ者が勝ち(+1)、2着3着は引き分け(0)、4着が負け(-1)」とする評価体系。「101(イチマルイチ)」の元々の意味は「+1、0、0、-1」だ。
評価結果に順位以外の要素(持ち点)は反映されないシンプルなものだ。

およそ世の中にたくさんある多くのゲーム(競技)にこの考えは広まっている。
野球だって、サッカーだってそうである。最終得点が「3対0」でも「99対98」でも勝ちに差はない。
テニスの勝者に獲得したセット数の差は無関係だし、将棋で何手で指し終えても持ち駒がいくらあろうと「勝ちの価値」は等しい。ただ「勝ち」なだけだ。
例を挙げるとキリがないが、およそ勝敗を競うほとんどのメジャーな競技で、「勝ち」以外の途中経過(持ち点の多寡に相当する部分)を考慮することは稀なことだ。

ところが、(ブー麻雀と101競技以外の)麻雀規則では、唯一の「勝ち」以外の「価値(=最終得点)」を考慮することが主流である。
これは麻雀というゲームが元々、持ち点による「清算」を前提としたバクチであることに由来し、その呪縛から逃れられていないからだろう(とアタキは思っているが、別にその呪縛から逃れるべきだとも思っていない/念の為)。

順位点(順位ウマ)の誕生

各種団体では競技性を高める目的のために、フリー雀荘ではトップ以外の攻防にも面白さ(価値)を付加する目的で順位点(順位ウマ)が生まれた。目的そのものを最初から意図していたかどうかは別にして。
他のタイマン競技と違って4者で戦うので、どうしても2着3着の扱いをどうすべって感じで、101のように引き分けに統一するのもどうかって感じで順位点の導入は自然なことのようにも思える。
トップ賞(オカ)と順位ウマのブレンド具合が、そのルールのコクというか肝というかそんな感じで、それによって各局ごとの戦い方が決定したり、そのコミュニティ内での振る舞い方(マナーに近いかな?)が決まる。
アタキが初めて入る雀荘では和了規則よりもウマの規則の方を最初にしっかりと確認することが多い。和了規則は勝負の途中でも確認できるもんね。

オカと順位ウマだけでなく、「浮き沈み状態」も考慮されることで、世の中にいろんなウマが生まれた。知らないとカオスを感じるかもしれないが、その実、そんなにややこしいものではない。

半荘という単位が育んだ面白さ

局ごとの単純な勝負の積み重ねが、いわゆる「素点」に反映される。
オカと順位ウマ(と浮き沈み)を考慮することにより、素点だけの時には味わえなかった面白さが増すのは前述の通り。
見逃し、狙い撃ち、無理な仕掛け、極端な高目取り、振聴リーチ等は、ただ「素点」を積み重ねるだけの単純な規則にはあまり意味のない戦術であり、オカと順位ウマがあるからこそ有意義な戦術(あるいは付加価値の高い戦術)だと言える。

ぼくらのやってる麻雀がこんなに面白いことの理由のひとつに、オカと順位ウマがあるんだ。うん。

いろんなウマとその性質

なんか以前にもどこかにアップしたかもしれんけど、チトおさらい。

25,000 点持ちのオカ無し
トップ以外の着順は無意味なので、トップ者以外は素点追求に走る。
25,000 点持ちのワンツー(あるいはゴットー)
トップ賞以外に、2着に+10ポイント、3着に-10ポイント、4着に-20ポイントが加算される規則。
なんかこれバランス悪いんじゃない、なんて、初めてこの規則を知った時に思ったけどそうじゃなかった。より上位の着順になるにつれ価値が増すんだ。
4着から3着へは+10ポイント、3着から2着へは+20ポイント、2着からトップへは+30ポイント(オカと合わせて)という計算。
ゴットーの場合は、ワンスリーよりも素点が重要で、着順アップ分のオプションの相対差は大きい(4着から上へは、+5/+10/+25)。
連盟公式ルール
トップ賞は無しで浮き沈み状態と着順によるウマ。日本プロ麻雀連盟の公式ルール。
昔ながらの競技規則でトップ賞がないのでいわゆる素点が一番大事。トップ者とラス者の差は最大でも20ポイント。トップと2着の差は4~13ポイントで他のルールと比べると素点に重きが置かれている。
25,000 点持ちのワンスリー
これが言いたくて、このコラムをアップしたのじゃ。次章で。

やっと、本題

よくあるワンスリーって、どうよ!

「25,000 点持ちのワンスリー」というのは、RTDリーグや、Mリーグや、日本プロ麻雀協会が採用している規則だ。
個人的にはチェーン店「さかえ」で 2002 年まで採用されていたので思い入れも深い。一番、面白いと感じている。
トップ賞(20,000 点)の他に、トップから4着までそれぞれ、+30ポイント/+10ポイント/-10ポイント/-30ポイントが付加される。

今更だけど、1ポイントは 1,000 点に等しい(ホントに今更…)。

各順位の本当の価値

この規則では、トップと4着を繰り返すと+ポイントとなることは誰もが知っている。
その本当の価値はどれほどのものだろう。じっくりと考えてみよう。

そもそも 25,000 点でスタートしているので、持ち点を原点として考えると、トップ+45ポイント/2着に+5ポイント/3着-15ポイント/4着-35ポイント、というのがこの規則の正しい理解だ。これを「真順位点」と呼ぼう。
そして、最終持ち点と 25,000 との差を「純素点」と呼ぶこととする。
例えば 40,000 点持ちのトップは、25,000 点から、+15ポイント上昇しているので、真順位点を合わせて60(=15+45)というもの。同様に 20,000 点持ちのラスなら(-10-30 で -40 なのではなく)、25,000 点との差-5ポイントに真順位点の-35ポイントを合わせて-40ポイントと考える。
結果は一緒だけれども、順位による価値の増減だけに的を絞るとその方が簡単明瞭だ。

トップ2着3着ラス
+45+5-15-35

持ち点を無視した真順位点の価値でいうと、以下の様なことが言える。
 ・トップのプラスは、2着の9倍。
 ・1回のトップは、3回の3着で、チャラ。
 ・1着2着を合計したプラス分は、3着とラスを合計したマイナス分に等しい。
 ・1回のラス分を2着だけで取り返すには、7回の2着が必要。
 ・2着3着が連続したら負け。2着2着2着3着でようやくチャラ。
 ・トップとラスを連続するのは、2着を連続するのと等しい(これは普通に考えても同じか(笑))。
こんなことを何となく念頭においておくと、リーグ戦のような複数回の半荘を戦う場合の目安にはなる。

チト、検証してみよう

このコラムを書いている一昨日までのMリーグの個人成績で、この真順位点について検証してみよう。
以下の表は、Mリーグ2018の50節(2019-01-08)終了時の成績表で、上から個人成績順に並んでいる。

順位名前総合P真順位点純素点
1 園田344.1+270+74.1
2 勝又182.9+100+82.9
3 黒沢160.9+ 90+70.9
4 寿人148.4+ 70+78.4
5 たろ128.3+ 90+38.3
6 滝沢98.7+ 45+53.7
7 亜樹48.1+ 45+ 3.1
8 朝倉40.5+ 10+30.5
9 多井33.5+ 15+18.5
10 前原26.5+ 15+11.5
11 松本▲ 12.5- 20+ 7.5
12 近藤▲ 48.4- 25-23.4
13 茅森▲ 80.9- 55-25.9
14 萩原▲ 87.0- 75-12.0
15 白鳥▲104.5- 55-49.5
16 小林▲107.5-105- 2.5
17 石橋▲112.4- 45-67.4
18 実験▲118.0- 55-63.0
19 村上▲155.6- 60-95.6
20 魚谷▲184.1-120-64.1
21 高宮▲201.0-135-66.0

総合Pは公式の「個人獲得ポイント」で、これは「真順位点と純素点の合計」でもある。「真順位点」は各者の獲得した半荘ごとの着順から求めた。
サンプル数は少ないけど、いろいろと判断できることも多い。

  • 全体の成績は「真順位点」に依存している。素点が大事だ、なんていわれるけどたいして大事でもない。あえて言えば「大事」でなく「小事」か。
  • 園田Pが全体で稼いだ素点は第3位なのに、真順位点が高いために、トータル成績が凄いこと(第2位勝又Pの約2倍)になっている。
  • 小林Pは純素点では12位なのに、真順位点が低いために16位となっている。逆も言えて、真順位点では19位にも関わらず、素点で頑張って16位まで引き上げている。
  • 素点ベースでは最も成績の悪い村上Pは、着順取りをうまく調整した結果19位に留まっている。というよりも、4着で大きく沈んだ半荘はあったがその沈み分の大きさが全体成績に反映されるのは少し、というのが事実。
  • 下位5人の内、村上Pを除く4人は素点ベースではほとんど違いがないにも関わらずトータルの個人成績に大きな開きがあるのは、着順取りの結果。

小林P以外の成績は、概ね「真順位点」通りの順に並んでいる、ということがわかる。

で、結論(かな?)

トップが大事なのはもちろんだが、その次に目指すのは着順取りだ、ということだ。
あえて言い切ってしまうならば、トップ者が更に点棒を積み重ねることや、ラス者が着順の変わらない和了りをすることが、最終成績に及ぼす影響はかなり少ない。
ラス者はさらに傷口を広げる結果になってもかまわないので、国士無双を狙うべき(笑)!例えば、トータル面でのライバルが存在するなら、そのライバルの着順を下げるために第三者への差し込みなんかは(得点の多寡に関わらず)重要な価値ある戦術だとも言える。

素点なんて気にせずに、ただ着順だけに焦点を絞って戦うのがオトク。
ただし、あなたが小林Pでない場合に限る。

今回の放言はここまで。
ある方のご要望にうまく応えることができたか不安を感じつつ、Mリーグを観戦する毎日。
瀬戸熊P、ごめんなさい&セガサミーフェニックス、頑張れ!

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