なんでこうなった、の歴史
ややこしくした2つの犯人
散家(子方)の誰かが 30 符の手を和了った場合、他の散家から 30 点を受け取りました(40 符なら 40 点、50 符なら 50 点です)。
そして荘家(親)からは、倍の 60 点を受け取りました。
荘家が和了った場合には、3人の散家から 30 点の倍の 60 点を受取りました。
散家と荘家の支払いが1:2であることを「么二(ヤオアール)式」とか「么二の法則」と言います。
「么(ヤオ)」は数字の1、「二」は2なので、意味としては「子と親のワンツー支払い原則」って感じです。
「么二」という言葉にこれ以上の意味はありませんし、日本の麻雀ではここで説明されている場面以外で使用されることもありません。
散家は 30 符の手を和了ると合計で[30+30+60]の 120 点の収入になります。
荘家は 30 符の手を和了ると倍の 60 点を3人の散家からなので合計で 180 点の収入です。
平穏で牧歌的な時代でした。
誰かが言い出しました。
「自力で和了られたのなら我慢できるけど、他人が振り込んだのに自分まで支払うのはイヤだ」
そうです、当初、ツモとロン(出和了り)の区別はなく、30 符の和了りには上述のやり取りがなされていたのです。
そこで「他人の捨て牌でロンした場合には、捨てた人が一人で支払う」というルールになりました。
これを「包(パオ)」とか「包則(パオソク)」と言います。「責任払い」という意味です。
今では「包」というと役満を確定させた場合にのみ使用される用語ですが、始まりは「ツモ」と「ロン」を区別したことからです。
元々は、複数人で興じるバクチに付き物の共謀(コンビ打ち)を排除する目的が強かったのだろうと思われます。
自分と組んでいる相手のロン牌を捨てれば、簡単に勝てますから。
上では「誰かが言い出した」と書きましたけど、研究では「花札」のルールからの転用では、という意見もあります。アタキは花札にしたって誰かが言いだしたに違いないと思っています。
振り込んだ場合には1人が支払うことになって、散家は 30 符の手を和了ると 120 点を振り込んだ人からだけ受け取ることになりました。
なぜ 120 点なのかは、元々 30 符の和了りなら 120 点の収入があったからです。荘家なら 180 点です。
点数体系をややこしくした最初の戦犯は「么二」と「包」の2つなのは間違いありません。
だからってその罪を償え!なんて言いません。だって、ややこしくした以上に、面白くもしてくれたわけですから。
そもそもバイバイゲームだってよ
「役」って知ってますか?(笑)
はい、今まで言わなかったですが、麻雀には「役」があります。
役が付くと和了った際に、得点を増やし、役の種類によって得点の増分も変わります。
(↑何の説明してるんだろ>自分)
でもって「飜」の登場です。1飜ごとに得点を倍にすることになります。
さっきまで散家の 30 符は 120 点の収入としてましたが、1飜付くとその倍の 240 点の収入となります。
これも実は、120 点の倍なのではなく、他の散家から 30 点の倍の 60 点を、荘家から 60 点の倍の 120 点を足した合計が 240 点、というのが正しい認識であることは間違いありません。
つまり、散家が平和(ピンフ)1飜で 30 符の手を和了ると 240 点の収入となり、それに断么(タンヤオ)の1飜を付け加えるとさらに倍の 480 点となるわけです。
散家で 40 符1飜なら、[(40✕2)+(40✕2)+(80✕2)]の合計 320 点の収入です。
同様に 50 符2飜なら、[(50✕2✕2)+(50✕2✕2)+(100✕2✕2)]の合計 800 点です。
同様に 60 符2飜なら、[(60✕2✕2)+(60✕2✕2)+(120✕2✕2)]の合計 960 点です。
最後の「60 符2飜」は「30 符3飜」と同じで 960 点。なんかどこかで聞いたことのある数かもしれません。
得点が高くなると射幸心も煽られ、スリリングな展開にもなりやすいものです。
誰かが言いました(またかよ)「サイコロの目が揃った局は得点を倍にしよう!」
サイコロは開門位置を決める際に振られますが、2つのサイコロの出目が同じだった場合(=ゾロ目が出た場合)は、倍の得点にしょう、という提案です。
サイコロは一から六までの目があるので、ゾロ目が出る確率は、36分の6。6回に1回くらいは倍にしても面白いんじゃない、ってこと。
なんだか変な提案ではありますが、スグに受け入れられました。
散家が 30 符の1飜を和了った場合でも、ゾロ目が出た局なら2飜と考えて、480 点となりました。
「目が揃」っているので「ゾロ目」。江戸時代から使われている言葉です。
さらに別の誰かが言い出しました。「ゾロ目にも一から六まである。ピンゾロ(一のゾロ目)とロクゾロ(六のゾロ目)の場合は、さらに倍にしよう」
なんてことを!読んでいる方、付いて来てください(笑)。
ピンゾロとロクゾロが出た局は、倍の倍、つまり4倍にしようという提案です。
散家が 30 符の1飜を和了った場合でも、ピンゾロが出た局なら3飜と考えて、960 点となりました。
一と六のゾロ目を「大ゾロ」、それ以外のゾロ目を「小ゾロ」なんて言ってました。
ピンゾロとロクゾロが出た局は倍の倍、つまり2飜増しになったわけですが、「めんどくせー、いつでも2飜増しでイイじゃん」って声があっただろうことは想像できますね(笑)。
そうです、いつでも2飜増しにすることを「場ゾロを付ける」と言い、このルールは一般的になりました。
現在の1飜の和了りは(2飜プラスして)3飜で計算するようになったわけです。
いつでもゾロ目(大ゾロ)が出たことにしているので、場にゾロを付ける、という言い方をします。
今では少なくなったけど、和了った際に役を呼称する場合、役名を連呼した後に「バンバン」(一部関西圏では「デンデン」)と言いながら指を折る数え方を多くの人がしていました。
散家で 30 符1飜の和了りは3飜と考えて、ツモなら[240+240+480]、ロンなら[960]で、現在 100 点未満は切り上げてやり取りするので、[300+300+500]と[1000]となっているのは以上の理由です。