麻雀打ちの頁/雀のお宿

現在の麻雀でやり取りされる点数がどのような経緯でこうなったかを解説。符と密接に関連し、インフレを起こしながら今の体系になったのでした。

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30符は30点です

30符は30点です

こんな点数体系になった経緯

符計算はメンド臭いので、無くしてしまってもイイと思ってます。ホントはメンド臭いからだけじゃないけど…。(←まずはツッコミを避けるための意思表示)

先日、あるプロ団体に所属している友人から、点数について質問されました。
聞かれるままに色々、偉そうに上から目線でご教授(ご教示?)してやったけど、彼がもっと早く知りたかったと言ったので、もしかして需要があるかもって考えて、この記事をアップすることにします。
他人に言われて[放言]書くのは「フリー雀荘へGO」以来、10年ぶり。
「フリー雀荘へGO」はたくさんアフィリエイト稼いでくれたので、この記事にも期待大(笑)。

符計算は普通にやってるけど、そもそもナンデそうなるの?って人に向けての内容です。
偉そうですまん。

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なんでこうなった、の歴史

ややこしくした2つの犯人

散家(子方)の誰かが 30 符の手を和了った場合、他の散家から 30 点を受け取りました(40 符なら 40 点、50 符なら 50 点です)。
そして荘家(親)からは、倍の 60 点を受け取りました。
荘家が和了った場合には、3人の散家から 30 点の倍の 60 点を受取りました。
散家と荘家の支払いが1:2であることを「么二(ヤオアール)式」とか「么二の法則」と言います。

「么(ヤオ)」は数字の1、「二」は2なので、意味としては「子と親のワンツー支払い原則」って感じです。
「么二」という言葉にこれ以上の意味はありませんし、日本の麻雀ではここで説明されている場面以外で使用されることもありません。

散家は 30 符の手を和了ると合計で[30+30+60]の 120 点の収入になります。
荘家は 30 符の手を和了ると倍の 60 点を3人の散家からなので合計で 180 点の収入です。
平穏で牧歌的な時代でした。

誰かが言い出しました。
「自力で和了られたのなら我慢できるけど、他人が振り込んだのに自分まで支払うのはイヤだ」
そうです、当初、ツモとロン(出和了り)の区別はなく、30 符の和了りには上述のやり取りがなされていたのです。
そこで「他人の捨て牌でロンした場合には、捨てた人が一人で支払う」というルールになりました。
これを「包(パオ)」とか「包則(パオソク)」と言います。「責任払い」という意味です。

今では「包」というと役満を確定させた場合にのみ使用される用語ですが、始まりは「ツモ」と「ロン」を区別したことからです。
元々は、複数人で興じるバクチに付き物の共謀(コンビ打ち)を排除する目的が強かったのだろうと思われます。
自分と組んでいる相手のロン牌を捨てれば、簡単に勝てますから。

上では「誰かが言い出した」と書きましたけど、研究では「花札」のルールからの転用では、という意見もあります。アタキは花札にしたって誰かが言いだしたに違いないと思っています。

振り込んだ場合には1人が支払うことになって、散家は 30 符の手を和了ると 120 点を振り込んだ人からだけ受け取ることになりました。
なぜ 120 点なのかは、元々 30 符の和了りなら 120 点の収入があったからです。荘家なら 180 点です。

点数体系をややこしくした最初の戦犯は「么二」と「包」の2つなのは間違いありません。
だからってその罪を償え!なんて言いません。だって、ややこしくした以上に、面白くもしてくれたわけですから。

そもそもバイバイゲームだってよ

「役」って知ってますか?(笑)
はい、今まで言わなかったですが、麻雀には「役」があります。
役が付くと和了った際に、得点を増やし、役の種類によって得点の増分も変わります。
(↑何の説明してるんだろ>自分)

でもって「」の登場です。1飜ごとに得点を倍にすることになります。
さっきまで散家の 30 符は 120 点の収入としてましたが、1飜付くとその倍の 240 点の収入となります。
これも実は、120 点の倍なのではなく、他の散家から 30 点の倍の 60 点を、荘家から 60 点の倍の 120 点を足した合計が 240 点、というのが正しい認識であることは間違いありません。

つまり、散家が平和(ピンフ)1飜で 30 符の手を和了ると 240 点の収入となり、それに断么(タンヤオ)の1飜を付け加えるとさらに倍の 480 点となるわけです。
散家で 40 符1飜なら、[(40✕2)+(40✕2)+(80✕2)]の合計 320 点の収入です。
同様に 50 符2飜なら、[(50✕2✕2)+(50✕2✕2)+(100✕2✕2)]の合計 800 点です。
同様に 60 符2飜なら、[(60✕2✕2)+(60✕2✕2)+(120✕2✕2)]の合計 960 点です。
最後の「60 符2飜」は「30 符3飜」と同じで 960 点。なんかどこかで聞いたことのある数かもしれません。

得点が高くなると射幸心も煽られ、スリリングな展開にもなりやすいものです。
誰かが言いました(またかよ)「サイコロの目が揃った局は得点を倍にしよう!」
サイコロは開門位置を決める際に振られますが、2つのサイコロの出目が同じだった場合(=ゾロ目が出た場合)は、倍の得点にしょう、という提案です。
サイコロは一から六までの目があるので、ゾロ目が出る確率は、36分の6。6回に1回くらいは倍にしても面白いんじゃない、ってこと。
なんだか変な提案ではありますが、スグに受け入れられました。
散家が 30 符の1飜を和了った場合でも、ゾロ目が出た局なら2飜と考えて、480 点となりました。

「目が揃」っているので「ゾロ目」。江戸時代から使われている言葉です。

さらに別の誰かが言い出しました。
「ゾロ目にも一から六まである。ピンゾロ(一のゾロ目)とロクゾロ(六のゾロ目)の場合は、さらに倍にしよう」
なんてことを!読んでいる方、付いて来てください(笑)。
ピンゾロとロクゾロが出た局は、倍の倍、つまり4倍にしようという提案です。
散家が 30 符の1飜を和了った場合でも、ピンゾロが出た局なら3飜と考えて、960 点となりました。

一と六のゾロ目を「大ゾロ」、それ以外のゾロ目を「小ゾロ」なんて言ってました。

ピンゾロとロクゾロが出た局は倍の倍、つまり2飜増しになったわけですが、「めんどくせー、いつでも2飜増しでイイじゃん」って声があっただろうことは想像できますね(笑)。
そうです、いつでも2飜増しにすることを「場ゾロを付ける」と言い、このルールは一般的になりました。
現在の1飜の和了りは(2飜プラスして)3飜で計算するようになったわけです。

いつでもゾロ目(大ゾロ)が出たことにしているので、場にゾロを付ける、という言い方をします。
今では少なくなったけど、和了った際に役を呼称する場合、役名を連呼した後に「バンバン」(一部関西圏では「デンデン」)と言いながら指を折る数え方を多くの人がしていました。

散家で 30 符1飜の和了りは3飜と考えて、ツモなら[240+240+480]、ロンなら[960]で、現在 100 点未満は切り上げてやり取りするので、[300+300+500]と[1000]となっているのは以上の理由です。

インフレの周辺

取り残された本場

荘家が連荘したり、輪荘した場合に付く「本場」。
主流は 300 点だけど、この 300 点は場ゾロが発生する以前から 300 点でした。
これは個人的想像なのだけど、元々は、荘家が連荘する度に脇に 100 点棒を出し、誰かが和了ったらその脇の点棒分をプラスして支払われたのではないか、と考えています。
なので「包」が採用されるようになるとロン和了りの場合は、その3倍である 300 点が追加された、との認識。

もう今の時代、バセンゴ(一本場 1500 点)を競技団体も真面目に取り上げてもいい頃ではないか、と。
だけどこれを書いている2日前にMリーグで黒沢Pが積んだ 10 本場を考えると、恐ろしい気もします。

役と飜

上述の通り「飜」は、符を基本にして倍々計算するための単位なのと比べて、「役」はもっと単純というかシンプルな単位のように思えます。
「平和のみが3飜」というのはわかりにくいのではないか、と指摘されたこともあります。
以前、麻雀ライターだった友人が「役と飜を使い分けたらどうか」と言ってたのを思い出しました。
だけど現在では平和のみの手は「30 符3飜」とは言わずに「1飜 30 符」と言われ、それが浸透しており、あらゆる麻雀ゲームでもそのようになっています。
大昔は、ちゃんと「30 符3飜」と表示するアーケードゲームもあったのに…。

七対子の点数

アタキ自身は「七対子は 100 点」と教わりました。
そこには、符も飜も存在せず、ただシンプルに「100 点」。散家で和了れば、他の散家から 100 点づつを、荘家から 200 点を。ロン和了りなら 400 点を貰っていました。
あるブーマン荘で「七対子でも他の役を付けられる」ことを知ってとても興奮したのを覚えています。
断么九なら1飜増しで(というか倍計算で)800 点、混全帯么なら2飜増しで(4倍計算で)1600 点。
とても合理的です。

門前符や小符、他の加符とも無関係で、他の役と一緒にするのは無理なのだけれども、そこはそれ、どうしても一つの体系の中に組み込みたくなるもの。
「七対子は 50 符1飜、満貫以上は2飜扱い」リーチ麻雀において長いこと言われてきました。
これは「七対子は、50 符1飜で計算しますよ」という意味です。つまり 50 符1飜は、100 符0飜と同値で、0飜なんて認められてないからこうしましょう、ということです。
頭の良い人がいるもので、「2飜 25 符」というのを目にしました。1990 年代の初め頃。
これだと満貫以上の場合のエクスキューズも不要です。あっぱれ!
だけど 25 符で計算するような人がいるわけありませんね(笑)。

切り上げ満貫

まぁここを読んでる人には説明不要だとは思いますが、「切り上げ満貫とは、30 符6飜(4役)だけを 1000 点単位に切り上げる方式」です。
なので同じ 7700(7680) 点でも、荘家の 40 符5飜(3役)や、散家の 60 符5飜は、8000 点にしません。

それがイイとか悪いとかじゃなく、「30 符6飜だけ」というのが特殊である、ということを書いておきたかった、です。

他にもいろいろ…

書こうと思ったけど書かなかったこと

久しぶりの[放言]が長くなったので、ここまでです。
実は、ついさっきまで、「満貫って何よ」とか「平和ツモはおかしいだろ」とか「喰いピンフこそが正義」なんてことをこの点数体系変遷の歴史に絡めて、あーだ、こーだと書こうと思っていましたが、なんかうまくまとまらないので、断念しました。
とっても残念。
断念したことが残念だんねん。

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